つぼみ便り~1学期の出来事~

入園式後、コロナ感染が深刻になり、臨時休園のために1学期のスタートが遅れました。休園だった時間を、どのように取り戻せばいいのか、思い悩む日々でした。しかし、再開してからのつぼみ組の子どもたちは、学級で、ホールで、園庭でのびやかに体を動かし、身体を動かし全力で、過ごすことができました。気がつけば、一学期も残り数日となりました。
この一学期の様子を保護者の皆さまに知っていただきたく、学級便りを書いてみました。
この2カ月間、子どもたちは虫探しをしたり、草花でままごと(子どもたちは「魔女スープ」と呼んでいます)をしたり、畑の植物(種まき、水やり)を育てたりなど、たくさんの自然と触れ合ってきました。園庭は、見ての通りの広さしかありませんが、子どもたちにとっては、小宇宙です。

ダンゴムシや、ゾウムシ、テントウムシの幼虫、アリなどに夢中になりました。毎日、虫籠と虫網をもって園庭を走り回ったり、じっとしゃがみ込んで友だちと虫を観察したりする様子が見られました。
魔女スープは、大きなお鍋に、水や砂を入れ、怪しくかき混ぜる度に園庭の隅っこに生えているイタドリの葉っぱをちぎって加え、白樺の花を加え、ボコボコの鍋というのも益々怪しく、自然遊びを通し、魔女というドキドキ感も味わいつつ、つぼみの仲間を感じながらごっこ遊びは長く続いていきました。

大雨が降った次の日の朝、枝豆が芽を出したことに気がついた子がいました。みんなで種まきをしましたから、みんなで大喜びをしました。その後も、幼稚園で収穫したイチゴは225個を数え、全学年で、どんなお料理をするかを話し合いました。つぼみ組の子どもたちも自分の口に入るものですから、積極的に話し合いに参加できました。そして、ゆり組の友だちが、ジャムにしてくれて、ストロベリーパイをいただきました。「おいしい!」の連発でした。畑に育ったキュウリは、塩もみをしていただきました。

自然素材に触れ、遊び込んでいく中で、様々な自然物に目が行き、食べることで味を知り、更に関心をもつようになっていくのです。次に育っているキュウリに注目している子がいます。
私は、つぼみ組の子どもたちと、もっと植物に関心をもたせ、楽しませたいと考えました。そこで、子どもたちとずっと楽しんできた「魔女スープ」を本当に味わわせたいと計画しました。
「魔女スープ」は、マママーケットで詰め放題が魅力のジャガイモで、外で楽しんできた「魔女スープ」作りのようにみんなで、再現していきました。部屋中に、美味しいにおいが広がりました。あとは、怪しい黄色の粉(コンソメ)を入れれば出来上がりです。子どもたちは、握りこぶしを口にして、「あー」と、言っていました。なんて怪しく、おいしいのでしょう。おかわりをいっぱいし合いました。


そしてみんなに投げかけました。「雨は、神様からのプレゼントだよ。雨をごくごく飲んで大きく育った命が、私たちが「おいしい」って食べている物だよ。私たちは、イチゴも、キュウリもジャガイモも、お家で食べるご飯も食べて大きくなっているんだよ」と。すると、子どもたちは「神様ありがとー!!」と、感謝を伝えてくれました。みんなで食べることを繰り返してきたことで感じられた、心のこもった感謝の言葉でした。みんなで感謝し合えること、子どもの心に、そのような根っこが育ってきていることを、とてもうれしく感じたのでした。

さて、お母さんの作ってくださったお弁当を食べ、美味しいものを食べてきたことで、身体も大きくなっていくことを実感させながら、私は心の育ちを大切にしたいと思いました。
お母さんのお腹から生まれてきた私たち。日常、お母さんが自分にしてくれていることを考えてみました。ご飯やお弁当を作ってもらい、おしっこパンツも洗濯してもらい、遊びに連れて行ってもらい、自分のためにたくさんのお仕事をしてくださっていることに気づきました。「なぜ、自分のためにしてくれるの?」「私たちはお母さんから、たくさんの愛をもらっているんだよ。この事を愛っていうんだよ」と、伝えました。初めて「愛」ということを知ったのでした。「自分の中に愛はあるんだろうか?」「ご飯食べない」「買って買って」「友だちに『入っちゃダメ』なんて言っていない?」「お母さんに愛をあげられているの?」など、様々な場面を通して、心を揺さぶり、心に向き合わせてきました。その度に、子どもなりに悩み、自分の心を見つめ、自分の心の愛を探すのでした。子どもたちが、真剣に自分の心を見つめようとする姿は、全く謙虚で、正直で、一緒にいて、苦しくなるほどでした。
子どもたちは、気がついています。わがままは、「愛がグチャグチャなんだ」ということを。「意地悪な心は川に流されちゃう」「心が壊れちゃう」と教えてくれました。たった2ヶ月の園生活でしたが、わがままも、意地悪も、たくさんしたからこそ、気がついた心でした。そこで、お母さんや友だちに、愛を使おうと考えたのです。子どもたちの心に小さな光がともったような気がしました。
28日、お母さんが幼稚園に来てくださることを子どもたちはとても楽しみにしています。そこで、「愛をプレゼントしよう」と計画しました。子どもたちは、愛とは「やさしいということ」「あったかいということ」「かっこいいということ」「泣いている人にティッシュをあげられること」「食べることが愛ということ」と、子どもなりに導き出しました。そのような愛を込めて、当日は、お母さんへのプレゼントをお渡します。思いを受け取ってください。
また2学期、コロナウイルスが広がらず、豊かな日々が過ごせることを祈ります。優しく生きるということを様々な場面で表現し、その心地よさやうれしさを感じられるように支えていきます。保護者の皆さまとは、懇談もできず、過ぎてしまいまったことが心残りですが、私のことを温かく見守りお支えくださったことに感謝しています。2学期もどうぞよろしくお願いします。

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