「みんな仲良く一緒にいるのは なんと美しく楽しいことか」(NO.2)

「みんな仲良く一緒にいるのは なんと美しく楽しいことか」

私がこひつじ幼稚園に着任してから20年ほどが経ちますが、幼稚園として大切にしたい教育や目指したい教育は変わりませんが、時代に合わせて、子どもの姿を見て、教育の方向を変えてみる、試みてみるということを何度もしてきました。保護者にありのままの子どもの育ちをできるだけ見てほしいと思ったからです。

ある年の運動会に、「子どもの頑張りに感動した」と大泣きしたお母さんがおりました。「あの子が、精一杯の姿で運動会を楽しんでいたわ」とおっしゃいました。驚いたことに「あの子」は、我が子ではありませんでした。正確にいうと、「我が子はもとより・・・」だったのだと思います。その後の運動会のアンケートでも、色々な方が、他の子の姿を讃えてくださるのはこひつじ幼稚園の保護者の特徴だと思っています。すてきなことです。

今年は、毎月の誕生会に、誕生月の子どもとその保護者と園児たちだけではなく、その他に一緒にお祝いしてくださる保護者の参加を募ることにしました。4月の落ち着かない集会の姿から、3月の成熟した様子までを多くの保護者の方にご覧いただき、子どもの成長を確認してほしいと思ったからです。先日の4月の誕生会に参加してくださった保護者の方は、「自分の子ではないのに、泣きそうになった。すてきな誕生会だった」と感想をくださいました。

お母さんから生まれてきたこと、これまで一生懸命育ててくださったこと、神様に親子ともども守られてきたこと、これからの一年も大いなる期待をもって生きることをみんなで味わい合いたく思います。

「みんな仲良く一緒にいるのはなんと美しく楽しいことか(詩篇133の1)」という聖句のお話の中で「春のお花も木も鳥も一緒に仲良くね」と言うと、年長の子が「虫も」と、私の話に付け足しました。前日、虫を獲ってそのまま放ったらかしてしまい、命のとの向き合い方に気付かされ学んだ子でした。

大切な子どもたちのこの春は、どの子も柔らかな薄い緑の葉っぱのように輝いて見えます。ひたすら虫見つけに没頭する子、園庭を歩き回る子、滑り台に登ったり降りたりと繰り返す子、ままごとスカートを頭に被って、プリキュアを踊りまくる子、自転車に乗って春を感じる子、幼稚園の裏に桜を見つけたと嬉しそうに報告する子、木の下に研究所をつくって、虫眼鏡を首に下げている子、お部屋で大きな紙に大きな絵を描く子などなど、大忙しで遊んでいます。その中で、小さな満足と達成感と失敗を繰り返しながら学んでいます。教師たちは、充実した時間を過ごせるよう、さまざまな仕掛けを用意していますし、特にひとりひとりの心の動きにも注目しているところです。

美しい花が咲く背後には、土を耕し種から花咲くまでを育て上げた何か月もの、目には見えない努力があるように、「みんな仲良く一緒にいる」ことも、お互いの絶えざる心遣いなしにはありえないものです。年長組の子が、手伝うことはないかと未就園児の様子を見にいく姿、そっと靴を履かせてくれる心遣いを見ることができる私たちの世界は聖句の御ことば通り、美しくスタートしました。