職員室にいると、子どもたちの大きな歓声や子供たち同士の弾んだ会話、魂を感じる歌声、子どもと教師の笑い声、大泣きなどが自然と耳に入ってきます。可笑しくて、ふと、ほくそ笑んだり心配したりしている私の横で、事務の島田さんも同じ反応をしている時があります。職員が皆、子どもの生活を温かく支えようとしているのだと嬉しくなります。
大きな波を乗り越え、この生活がありますから、日々をより大切に実りある有意義な一日を過ごさせるために教師たちは「心全力」です。
あえて「心」をつけたのには意味があります。こひつじ幼稚園の教育課程と照らし合わせ、臨時休園中に計画していた遊びを全力でさせると言うことではありません。私は、教師の働きの中で、「見とる」「見守る」「見通す」「見定める」の4つのことを大事に考えています。子どもの前に、教師は即興的に意識せずやっていることが多いのですが、子どもが育っていく時、この4つがうまく働く時が多いと考えています。
「見とる」は、子供がどのような状況にあり、その子の思いはどのようにあるのかを捉える心の働きを見ることです。今ここで何に興味・関心をもって取り組んでいるのか、あるいは、困って立ち止まっているのかを見ることです。
「見守る」は、見とってすぐわかるのではなく、少し傍らでゆったり見とり、その展開のプロセスを見守ることです。
「見通す」は、その遊びの活動がどのように展開していくのか、その子のこれまでの経験やこれからの育ちの展望や教育課程から、未来に目を向ける心の動きです。
「見定める」は、その遊びの状況と子どものありようから、教師自身の行為を判断する時です。教師が援助していたのを抜けるタイミング、経験を増やすために新たなものを注ぎ込むこともあります。日々の判断がこのように分析的に進むわけではありませんが、4つの見方は、「学級集団」の育ち、「個々」の育ちを見る時に教師の頭の中で起きていることです。そのことを「心全力」で、子どものために尽くしたいと思っています。つまり、教師の計画で次は、「これをやる」「次はこれをこなす」ということではなく、子どもの心の動きを読み解きながら、「心全力」で育てていくということです。
どの教師も、幼稚園再開から2週間は、子どもの心や思いの出し方を「見とる」ことに徹しました。様々な表情や態度が見え、その度にじっくりと受け止め、とにかく再会した仲間と一緒にいることができたことを噛みしめ、体力を少しずつつけていかれるようにしていきました。
2週間が過ぎた頃、本格的な夏がきました。札幌にはめずらしい連日の高温続きです。今しかできない遊びを中心に盛り上がっているところです。連日のお洗濯に感謝します。先日の激しいどろんこ遊びの最後は、彩花先生が舞衣先生に仕掛け、舞衣先生を守るたんぽぽ組の子たちを巻き込んでの「どろんこの戦い」となりましたが、果てはチョロチョロといたずらしてくる優先生が、彩花先生と舞衣先生に参戦した百華先生につかまり、どろんこプールに沈められてしまいました。大きな叫び声が園庭から一丁先まで響き渡りました。つぼみ組の子どもたちは、その教師同士の真剣勝負を「あー」と口を開けた棒立ちのままで、しかし、びっくりした目だけは優先生の行方を追っていました。私は、そのコントラストに大笑いしながら、教師の心もやっと緊張から解かれていっている(解かれたい、かもしれません)ことを感じました。マスクをしながらのどろんこ遊びは、体力を更に奪いますが、教師も一つの環境として、遊び込んでいるところです。「見守る」ことをせず、「見定める」ことはできません。教師の身勝手な援助になるからです。結論が先にあってはなりません。目的は子どもが決めてこそ自分の遊び、つまり学びになるからです。ご家庭でも、お母さんのお立場で4つの見方を振り返って見てください。
さて、先にお知らせいたしましたように、幼稚園は8月11日まで走り続けます。今まで経験したことのない動きですから、子どもの体力等に気をつけて見てあげてください。 温かな応援をよろしくお願いします。
*8月の予定*
11日 終業式
19日 2学期始業式
27日 避難訓練(保護者参加)
30日 あそびましょ、おはなししましょ
31日 誕生会