冒険真っ最中(NO.9)

一番長い2学期が、あっという間に過ぎて行こうとしています。冬もやってきました。冬用のコート、スパイクタイヤなどの準備はお済ですか?

先日、思いがけず病院に4日間入院することになり、読みたかった本を読もうと準備しました。3冊のうち1冊は、子どもの頃から大好きな本です。何度も読み、その度にワクワクする大好きな少年文庫「クローディアの秘密」(カニグスバーグ作)をカバンに入れました。

姉は弟を誘って家出を計画しました。行き先はニューヨークメトロポリタン美術館です。美術館の見取り図は、調べ済みです。守衛の目を盗みながら、ルネッサンス時代の王様の使ったカビくさいベッドに寝て噴水でシャワーを浴びて美術館でこっそり生活するうちにミケランジェロが作ったとされる天使の像の秘密を探ることになるお話です。

家出の最中の姉クローディアと弟ジェイミーの会話の一部を紹介します。

弟 うちに帰りたくない?

姉 それほどでもないわ。あんまり考えてなかったわと答えます。

弟 僕たちには良心がないんじゃあないかな。本当はホームシックになるはずだろ?お父さんとお母さんの育て方が間違っていたと思わない?二人とも特に怖くないよね

二人は小さい頃にホームシックになった時のことを思い出します。弟ケビンが生まれる時、お父さんがお母さんを病院に連れて行って、二人はおばさんの家に預けられた時だったと。

姉 あの時心配だったのよ。あんたは、指をしゃぶって一日中古い臭くなった毛布を引きずって歩いていた。でも今は、その時よりずっと長く家出をしている

弟 ホームシックってのは指をしゃぶるようなものだね。自分に自信が持てないと出てくるんだ。」と言うと満足そうに「それか、鍛えられていないかのどっちかだよ。なんだか私、大きくなった気がするの。それにあたしって、順応性があるのよ

そして、二人はベッドに寝落ちします。

この間、家出中のこの二人の子どもたちのニュースが新聞に取り上げられ、世間は大騒ぎになっていますが、親のことは書かれていません。その後、あるおばさんとの出会いが、二人をさらに豊かな経験をもたらすお話です。

 

これは、ほんの一部のやりとりなのですが、私がこれを読んでいたのは、こひつじ幼稚園の子ども達が生活発表会の準備をしていた頃です。このチームを選んで良かったのか、セリフを考えないと。果たしていえるのか。お客さんは本当に来るのか、、、楽しみと同時に、たくさんの不安を抱えました。私はこう考えました。

子どもたちは毎日、お母さんの心配をよそに冒険の旅をしているではありませんか。安心のお家から、こひつじ幼稚園という場所へ早くて8時から14時、長い子で18時まで。

初めは、不安で指をしゃぶっている子、自分好みのタオルを持参する子もいます。親は「楽しんでおいで」と冒険を推奨してくださり、子どもは少しずつ自信をもっていきます。それでも新しい挑戦や、困難に出会うと、家に帰りたくなったり、逃げ出したくなったり、指をしゃぶりたくなったり、冒険から帰って、ママに訴えたりもします。親はいつでも心配はあるでしょうが、子どもの冒険に口を出す親はほとんどいません。

幼稚園でしかできない遊び、仲間とだから経験できること、知らなかったことがわかること、自分を知ること、人と関わってみてわかること、人のために役に立てること。いろいろな言葉を覚えること。いろいろな感情を知ること。いろいろな表現を楽しむこと。経験を積んでいくと、自分なりの気転をきかせて、臨機応変に振る舞うこともできます。必要に応じて自分をアピールする力も育ちます。

私は、子どもたちの発表の一つ一つを見ていて、この子たちはクローディアやジェイミーのように冒険を楽しんでいる時なのだと思ったのです。二人の会話が聞こえるようです。「何だか私、大きくなった気がする。それに私、順応性があるのよ」と。

今年の発表会は、予想をはるかに超えるお客様でした。祖父母様、叔父叔母様にもいらしていただきました。子どもに関心を寄せてくださり、本当に嬉しいことと受け止めました。ありがとうございます。

発表会が終わっても、何度も発表ごっこは続き、とうとう本日は、違う役に挑戦して、劇ごっこを再現していました。子どもたちは、これからもっともっと冒険を繰り返し、その度に精神的自立をして行くことでしょう。順応性の塊です。どの子も子どもの明日が楽しみです。

保護者の方が言いました。「我が子が、セリフを言うなんて信じられない。私がドキドキしているのに、堂々としていてびっくりしました。知らないうちに大きくなっていたんですね」と。クローディアの両親も同じ気持ちだったことでしょう。

「そうですよ。冒険をしているうちにね」ともう少しで、答えるところでした。そう言う私も子供の頃は、次から次に冒険を繰り返し、お陰様で思いもよらぬ経験をしてきました。今となっては、親の心配を想像するのはやめました。

でもね、家出の計画は楽しいものよ!

さて、次は思いっきりの雪遊びです。雪遊びといってもいいろいろな遊び方があります。新たな冒険の始まりです。

 

*12月の予定*

4日 アドベント②

11日 アドベント③

13日 わくわく組・広場懇談会

17日 交通安全教室

18日 クリスマス会

19日 誕生会

20日 終業式

23日・24日 お泊り会