どんな時も大切に我が子を育む(NO.11)

冬のお泊まり会が終わっても、クリスマスがきてもお正月になっても、3学期が始まっても、雪は積もりません。

私が子どもの頃、「一度だけ雪が降らない正月があった」と父が話してくれたことを思い出しました。それはもう何十年も前の出来事です。多くの雪は、東北北陸などの日本海側へ降ってしまいました。それも気の毒なくらい重い雪です。お正月の花農家も、野菜農家もビニールハウスが壊れ、莫大な被害をもたらしました。

反面、札幌は私が記憶にある中の最低積雪です。例年、園庭にできる大きな雪山は、魅力的な遊びです。ソリを滑るために、雪山を懸命に登らなければなりません。ソリを滑る遊びを通して、足腰が鍛えられ、バランス感覚が磨かれ、滑る度に「きゃー」と大きな発声がなされ、精神もスカッと安定します。様々な乗り方や技術を発見し、チャレンジする気持ちが生まれます。仲間を応援したりされたり、励ましたり励まされたりする良いとこだらけの遊びです。

私たち教師は、農家さんのようにいつも気候やその週の天気を気にしています。何故なら、そのことは教育に直結してくることだからです。冬休みに入ると3学期の雪の遊びを計画し、学級の年齢経験にふさわしい、(心くすぐられる)遊びを練っていきます。学級のこの子に、あの子に経験させたいことを計画するのです。色々練ってきたことが台無しになりそうなほど、雪はありません。ないものはないのですから、今後降る雪に期待をし、計画を切り替えなくてはいけません。

こひつじ幼稚園の教師たちは、肯定的です。へこたれません。子どもたちと今ある環境で楽しめる様々な遊びを話し合っています。各クラスで、トランプやカルタ、けん玉などの正月遊びをしたり、年長では凧揚げをしたり、雪遊びをしたりと楽しみ始めたところです。様々な遊びを通して得た経験から学びを深めさせたいと教師たちは真剣です。

 

私は「あぐり王国」のテレビ番組をよく見ます。いつも「なるほど」と思わされ、子どもに活かせないかと考えています。実ったものを収穫し、おいしくいただくことに注目しがちですが、氷点下を大きく下回る厳冬期に、ビニールハウスに降る雪を払い、人の吐く息で飛びそうな種子を蒔き、細やかな心遣いをしながら発芽を祈るような気持ちで世話をし続け、春を待つのです。やがて、感動の発芽の時がきて、幼い苗の顔色を細かく見ながら、ハウスに暖房をつけたり、散水をしたり肥料を施したりしながら大切に発育を助けていきます。全くそれは教育と同じです。

子どもの言動をじっくり待って見守りながら必要なことには手を貸し、心を読み解きながら世話をしていくのです。手のかからない子どもは一人もいません。「うちの子は親を困らせない、何でも自分でできる」という親は、子どもを見れていない親です。

「育む(はぐくむ)」の語源は、親鳥がひなを羽で「つつむ」「くるむ」から生まれたという説があり、それを受けると、子どもを「抱っこする」のも大切な育みなのだと考えることができます。「待って見守り、世話をし、抱っこする」。これをバランスよく繰り返される教育環境の下でこそ子どもは健全な自立の道を歩み、自分の花を咲かせていくのだと思うのです。大きくなったから、小学校に行くのだから、歯が抜けたから「抱っこは卒業」なんてありえません。今日も、彩花先生が、抱っこしながら子どもの話を聞いています。真悠先生が、子どもを抱っこしながら廊下を歩いています。優先生が、膝に座らせ子どもと話し込んでいます。そのさりげないひとコマは全部、その子のその子らしい美しい花を咲かせる準備なのです。慌てない、じっくりの準備が大切です。

私たちは、この3学期も心して子どもの前に立ち、スタートしています。3学期もよろしくお願いします。

*2月の予定*

3日 豆まき

4日 なにぬねのの日

6日 園長先生お話会

7日 一日入園

18日 レコーディング

26日 身体測定

27日 年長児卒園旅行

28日 誕生会・ママクラブ人形劇観劇会